私は一本桜が好きで、一時その写真を撮りためていたことがあります。奈良県には樹齢200年を超えるような桜の大樹がたくさん残っていて、私が数えただけでもざっと40〜50本ほどは残っているようです(大和の桜)。それらは大寺院ではなく村の小さい社寺や民家で大切に守り伝えられたものが多く、村の風景と馴染んでなかなかの風情です。この白木のヒカンザクラは樹齢300年ほどと推測され、桜井市の天然記念物に指定されていますが、私にとってより興味がそそられるのは、ご覧のように桜のある高籠神社脇から伸びる一本道に勧請縄が掛かっており、桜と一緒に写真が撮れるということ。地霊の濃い景色とは、このような風景をいうのでしょうか。
ところで、この勧請縄が掛かる一本道は大変不思議な道で、写真の手前側は峯の尾根道になっていますが、僅か50メートルほど先で突然空中に解き放たれるように終わっています。"勧請縄"は、村の境界から悪霊が入り込まないように、村の結界として張るものなのですが、この道はまるで天空に繋がるかのように空中に投げ出されているのです。この縄はいったい何に対する護りとして張られたものなのでしょうか。ハテ?
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