3月は"お水取り"の季節。一般的にはお松明が有名ですが、その後堂内で行われる不退の行法も厳粛かつ壮麗で、行事全体が非常に深遠な内容を持っていることに驚かされます。私は、まだ外陣の蔀戸越しにしか堂内の行事を拝見したことがありませんが、インド僧であったという草創の実忠和尚や、お水取りを大きく整備したという弘法大師の面影が、蝋燭の揺らめきの中に見えるような気がします。さて、この写真は、お水取りが終わった翌15日に行われる"達陀帽(だったんぼう)いただかせ"という行事を撮ったもの。お水取りのクライマックス"達陀の行法"で、咒師役の八天が被る帽子を子供に戴かせると息災に育つという俗信に基づくもので、早朝からたくさんの子供連れが参詣されます。お水取りが終わると関西は既に春。お水取りの行法の厳しさと打って変わって、なんとも長閑な風景ですね。
-東大寺二月堂/達陀帽いただかせ 全写真-
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