三輪恵比寿神社は、日本最古の神社とされる大神神社にほど近く、日本最初の市場"海石榴市(つばきち)"があった場所と伝承されています。万葉集では、海石榴市は"八十衢(やそのちまた)"と形容されていて、大和平野を北に伸びる上ツ道と山之辺道、西に突っ切る横大路、南に飛鳥に通ずる山田道など、古代の国道が交差するところにあり、大きな歌垣が行われるなど、人と物資が集まる賑やかな繁華街のような場所であったと考えられています。江戸時代の日本橋のようなところを思い浮かべていただくと良いと思います。三輪恵比寿から見ると反対側の大和川南岸にあったというのが現在の学問上の通説で、桜井市外山あたりが最有力とされています。しかし、平安時代になって大規模な洪水があったことが契機となって、大和川北岸の現在地にその中心が移ったようで、それ以降は初瀬詣や伊勢詣の宿場街として大いに繁盛しました。
初市祭は、かつて賑わった"三輪の市"の名残を今に伝えて、商売繁盛を祈願する祭りとして、今も地元民の篤い信仰を集めています。八つの釜を並べて行われる湯立が画像的には大変面白く、この写真は、シャッタースピード優先でいろいろな試し撮りをしてみた中の一枚です。(三輪恵比寿神社/初市祭-全写真)
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