飛鳥の奥津城にあたる栢森(かやのもり)には、1月11日に、村の入り口に悪霊が入り込むのを防ぐために勧請縄を掛け渡す「綱掛」が行われます。綱の真ん中には、女性のシンボルが吊り下げられており、この下流の稲渕で同じ時期に男性のシンボルを真ん中に吊り下げた男綱が掛けらるのと、対を成しています。「飛鳥の祭りと伝承(桜井満、並木宏衛編 桜楓社)」では、「ツナに雄雌があるのは、その雌雄の交合による豊穣と繁栄を暗示するものであり、この上流と下流には神婚幻想があるのであろう」と書かれています。
栢森では、綱を掛ける前に、フクイシ(綱を掛ける場所にある磐座)の上にトグロ状に置いて供養を行った後、架け替えの作業が行われます。写真は、そのトグロ状に巻かれた新しい勧請縄を撮ったもので、真ん中の丸い玉が女性のシンボルとされています。背景に古い勧請縄が写っており、新旧のコントラストが大変面白い写真です。(全写真-栢森/綱掛) |